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漢方の話--- 七夕・笹・竹そして漢方

  鉄砲洲診療所所長
  沖山 明彦

 7月7日は節句の七夕(たなばた、しちせき)です。

 もともと豊作を祖霊に祈る盂蘭盆会(お盆)に女性が針仕事の上達を願う乞巧奠(きこうでん)などが習合したもので、お盆行事の一部で、棚幡とも書かれます。七夕の笹飾りの笹は精霊(祖先の霊)が宿る依代といわれます(以上、ウィキぺディア)。

 もともと旧暦のこの日は新暦では8月7日になり、立秋以降です。北海道や東北、仙台は旧暦のお盆で、あの青森ねぶたまつりや新しいとはいえ仙台七夕まつりも、ちょうどその頃の行事なのです。笹飾りの短冊の5色は以前記した、陰陽五行説に由来する色です。漢方では七夕の主役の竹や笹にいろいろな薬効を認めています。イネ科のハチク(淡竹)やマダケ(苦竹)のまだ巻いて開かない幼葉で、明け方摘み取った新鮮なものを、「竹巻心(ちくけんしん)」と呼びます。普通の葉は「竹葉(ちくよう)」といいます。例えば高熱がでていて、意識が混濁していたり、うわごとを言っている時に、他の生薬と組み合わせて治療します。効力は「竹巻心」が「竹葉」に優ると言われます。ハチクの内皮を「竹如(ちくじょ)」と言います。緑色の外皮を薄く削り取り、中間層を削って帯状にします。「竹如」は黄緑から淡黄色でよい香りがします。抗炎症作用が知られ、「肺熱を清し、痰を除き、胃熱を清して、嘔吐を止める。熱痰による煩わしさ、不眠、動悸、鼻出血などを治す」薬効で、「清肺湯(せいはいとう)」の構成生薬です。「清肺湯」は咳が長びき、痰が粘って切れにくく、血痰をみたり、咽喉の痛み、声枯れなどのある気管支炎に使われます。大病後、咳、痰、微熱が続き、口が渇き、煩わしく眠れない時には、「竹如温胆湯(ちくじょうんたんとう)」が使われますが、この処方の生薬の中心生薬も「竹如」です。イネ科チシマザサなどの葉を隈笹(クマザサ)といいます。タケの小型化したものですが、葉の縁が白く隈どられているのが由来です。大きな葉は、実際、熊が好むこともあり、「熊笹」ともいいます。「笹だんご」や「ちまき」に使われるのは、葉に含まれる安息香酸の殺菌、防腐作用によることがわかりましたが、その他、抗胃潰瘍・胃炎作用やもろもろの作用から、民間療法や市販薬に用いられています。
 スズタケの実は食用になり、終戦後、食料不足の際、八ヶ岳山麓にスズタケの実を求めて、多くの人が来たそうです。「野麦峠」の野麦はこのスズタケの実のことです。

 笹を好むのはパンダが有名ですが、象の好物ともテレビで放映されていました。わたしはもちろん、「ささ」が好きです。

 元中央区議の森山一さんからいただいた、橋本夢道句集「無禮なる妻」に、月島の章があります。橋本氏は俳句弾圧事件で東京拘置所に入れられ、出所後月島で過ごされた自由律の俳人です。食道癌療養中往診させていただいた縁で、氏の句をご紹介。
 「愚かしや生ビール旨しと思わざる者は死ね」。