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病気の話----下肢静脈瘤

東京健生病院 院長・外科医
根岸 京田

 下肢静脈瘤はかつて日本人には少ないと言われていましたが、最近は患者件数は増加の一途です。

 下肢静脈瘤の原因は静脈弁不全による静脈血の逆流です。長時間の立ち仕事を続けてきた人は男女を問わずハイリスクグループです。女性は妊娠・出産を契機に静脈瘤が発生する場合が多く、妊娠中の子宮の増大に伴う下肢静脈圧の亢進、女性ホルモンによる静脈壁の軟化によって静脈弁不全が起こると考えられています。

 静脈瘤を有する人の割合は年齢を重ねる毎に高くなり、80歳代の日本人では約80%に静脈瘤がみられるという報告があります。これは、痔核や難産、腰痛症と共に、ヒトが二足歩行するようになったための宿命ともいえます。ちなみにキリンや象などの四足動物は、皮下脂肪がほとんどなく強靱な皮膚で静脈の拡張を押さえているため静脈瘤にはならないと言われています。

 下肢静脈瘤は肉眼的に以下の4つに分類されます。すなわち
(1)大腿から下腿の内側に位置する大伏在静脈や下腿後面に位置する小伏在静脈の本幹が拡張する伏在静脈瘤。
(2)伏在静脈の主要分枝が拡張する分枝静脈瘤。
(3)1〜3ミリ程度の静脈が青く拡張する網の目状静脈瘤。
(4)直径1ミリ以下の細静脈が樹枝状に拡張するクモの巣状静脈瘤の4種類です。

 自覚症状はBやCのタイプではほとんどみられません。@やAの比較的太い静脈瘤の場合は慢性的な静脈うっ滞による症状がみられ、下肢のむくみ・だるさ、夜間のこむら返り、うっ滞性皮膚炎に伴うかゆみ・色素沈着、さらには難治性の静脈性潰瘍が発生することもあります。

 治療は、細いタイプのものであれば瘤内に硬化剤を注入する硬化療法が有効で、外来での治療が可能です。太いタイプでは硬化療法では再発が多く、手術療法の適応となります。当院では腰椎麻酔下に手術を行うので短期間(3日程度)入院していただいていますが、外来手術で行う施設も増えてきました。また、レーザーやマイクロ波などの新しい機器の導入も試みられつつあります。