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漢方の話… 七草の節句そして松

  鉄砲洲診療所所長
  沖山 明彦

 元旦は別格として1月7日は「人日(じんじつ)」と呼ばれ五節句の一つで、別名「七草の節句」です。この日、七種(草)粥(ななくさがゆ)で、邪気を払い一年の無事を願う風習はよく知られています。

 昔の七草は、米、粟、キビ、ヒエ、ゴマ、小豆、蓑米の七種の穀物で、それで餅がゆ(望がゆ)をつくったそうです。その後、水田や畑の七種の野菜「セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ」を入れた粥になりました。主役は「ナズナ(ぺんぺん草)」のようです。ナズナの生薬名は、「薺(せい)」です。「国訳本草綱目」では、薺はよく一切の生物を護るので「護生草」とも呼ばれ、「甘し、温にして毒なし」、「五臓を利し、根は目痛を治す」。「その根や葉の焼き灰は赤白痢を治す・・」とあります。なずな(ぺんぺん草)はすごい薬草なのです。江戸時代、「七草粥」といっても庶民の間では、なずなに小松菜を混ぜる程度の粥だったそうです。「七草の節句」には、「七草叩き」や「七草爪」の風習もありますが省略します。

 さて、正月といえば門松を立てて年神を家に迎え入れる習わしがありますが、もとは正月の子の日に小さな松を引き抜いてきて飾り、「長寿」を祈願した「小松引き」という行事が変遷したものだそうです。さて、漢方では松葉(まつば・しょうよう)に、麻痺や関節痛、打撲傷、むくみや湿疹や痒みに効能があるとしています。松葉は「仙人の食」とも言われ、不老長寿が得られるということからか、アカマツの葉に熊笹の葉、それに人参などを配合し、滋養・強壮薬としての市販薬があります。また、「松葉酒」や浴槽につける「松葉湯」そして「松葉茶」も民間療法で試みられています。松に寄生するサルノコシカケ科の真菌に「マツホド」があります。木材腐朽菌のこのマツホドの菌糸の塊を菌核といい、これを漢方では「茯苓(ぶくりょう)」といいます。松の根地下20〜30センチに隠れているので、鉄棒で突いて探す「茯苓突き」という専門家がいたそうです。最近の中国産輸入品はほとんど栽培品です。

 この生薬は(1)利水作用。むくみをとったり(五苓散:ごれいさん)、水が部分的にとどこおったり、それからの眩暈などがみられたり(苓桂朮甘湯:りょうけいじゅつかんとう)、寒さや湿気で腰から下が冷える(苓姜朮甘湯:りょうきょうじゅつかんとう)、膀胱炎などでの排尿障害(猪苓湯:ちょれいとう)など。
(2)健脾作用。食欲不振、消化不良、下痢など(四君子湯:しくんしとう)。胃内に水がたまり、上腹部が張り、嘔吐がある(茯苓飲:ぶくりょういん)。B安神作用。動悸や不眠、情緒障害。神経が高ぶり、腹部に動悸が著明(抑肝散陳皮半夏:よくかんさんかちんぴはんげ)。虚弱者の不眠症(酸棗仁湯:さんそにんとう)などの効能です。

 走って(?)集合時間に間に合った、師走の中央支部の日帰りバス旅行。若い組合員さんから、自家製「ウコン酒」の試飲を依頼されました。「ウコン」は生薬で、「ターメリック」という、染料やカレーの黄色のもとになるハーブとしても有名です。「ウコン」の漢方での効能は、利胆・肝保護作用、芳香性健胃、消炎、止血などの作用があります。アルコールでの二日酔いや肝障害に有効といわれ、飲む前に飲むなら焼酎として、一緒に飲めばもっとよいか(?)と造られた由です。そのせいか旅行反省会で「景虎」の一杯は結構でした。