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漢方の話… 眠れない時に

  鉄砲洲診療所所長
  沖山 明彦

 「普段から足腰を鍛え、皆で雲取山へ。そして、山上の湯につかり、一杯の酒で達成感に酔い、ぐっすり一泊して、翌日下山」。ある山ガールの話です。

 今年は辰年で、3月は辰月です。この辰月のはじめの酉(とり)の日を、初酉(はつとり)といい、「初酉の高山登り」という行事が、福島県を主に、宮城、山形と伝えられていました。「この日、高い山に酒肴を携えて登り、甘酒などを飲み、山神にも上げる。そして、無病息災、とくに中風にならず、長寿を願う」のです。

 ところで、現代の3月18日は「世界睡眠の日(ワールド・スリープ・デイ)」です。日本ではこれに9月3日(グッスリ)を加えて、春・秋の「睡眠の日」としています。2011年には、「子どもたちにもっと良い睡眠をとどけよう」の実施要請が発表されました。

 辰は易の言葉ですが、漢方はこれに龍を当てます。そして、新生代のシカ、サイ、ゾウ類、マンモスなど古代の大型哺乳動物の骨の化石を「竜骨(りゅうこつ)」とよび、生薬として用います。主成分は炭酸カルシウムや燐酸カルシウムで少量のアミノ酸、いろいろな微量元素を含みます。不眠によく処方される漢方に、「柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」や「桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)」があります。この併用される生薬「牡蠣(ぼれい)」は牡蠣の殻です。主成分は炭酸カルシウムです。「竜骨」にも「牡蠣」にも鎮静作用があります。「柴胡加竜骨牡蠣湯」は、比較的体力があり、精神不安、いらいら、筋肉のつれなどがあり、便秘、掌に汗をかく、夢見が多い、お臍の上に動悸がある人に使われます。「桂枝加竜骨牡蠣湯」は、虚弱体質で、やせて、疲れやすく、神経過敏、不眠、不安、夢見が多く、寝汗、眩暈などがあり、お臍に動悸がある人の処方です。

 そのほか不眠の漢方には、いろいろあります。尚、良い睡眠習慣の上から、寝酒はアルコール依存につながりやすいので、お酒なら1合程度でやはり休肝日が必要です。近況報告、田酒の「古城の錦」がそれなりでした。