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漢方の話… 秋の冷えは癪(しゃく)や疝気(せんき)のもと

  鉄砲洲診療所所長
  沖山 明彦
 

 秋口の急な冷えは、いろいろな痛みを引き起こします。昔の人はお腹や腰などの痛みが体の「積(せき)」あるいは、「癪(しゃく)」とよばれる「かたまり」から起こると考えました。「持病の癪で・・・」はよく使われる台詞です。あの徳川家康は漢方に詳しく、文字通り「自家薬籠」を持っていました。彼も「胃の癪」で苦しんだそうで、おそらく「胃癌」であったとも言われます。癌のような「かたまり」でなくともいろいろな「癪(積)」があると考えます。「気の積・寒の積・食の積・血の積・痰の積の五つの積」をとりのぞくといわれる漢方が「五積散(ごしゃくさん)」です。症状は「のぼせ冷え、頭痛」、「腰の冷え・胃腸の痛み」、「顔色不良」、「神経痛・関節痛」、「食欲不振、悪心・嘔吐」、「月経痛、下腹部痛」、「咳、痰、めまい、浮腫」などです。冷えがより強く、深いところにあると、そこからの関節・筋肉痛、腹痛には、「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)」が選ばれます。「手足が冷え悪寒がする、お腹の冷え」、「下腹部痛、身体痛、四肢痛」、「激しい疲労感」、「頭痛」が主な症状です。四逆とは手足の末端から強い冷えが上に上がってくることをいいます。この漢方は「疝気(せんき)」といわれる冷えで増悪する腹痛、主に下腹痛に用いられることで知られています。落語で「疝気の虫」という話があります。この虫は蕎麦が大好物で蕎麦が入ると、元気になり、お腹の中の筋を引っ張って暴れ、その痛みで人を苦しめます。ところが、唐辛子を与えると腐ってしまう虫なので、唐辛子が入ると、下の方へ逃げ出して、男性の場合はその別荘へ引っ越すのだそうです。そのことを知った医師が旦那を苦しめている「疝気の虫」を蕎麦の香りでだまして、連れ合いの女性の体に誘導し、そしてたっぷりの唐辛子を与えます。「疝気の虫」がその後どうなったか、聞き落としたので「落ち」は知りません。

 最近よく耳にする漢方に「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」があります。急性の緊張性筋肉痛、こむら返りなどの他、胆石や尿路結石など内臓の痛みにも処方されます。緊張を緩和する作用と鎮痛作用があるのです。痛みがなくなり、杖を忘れるので「去杖湯(きょじょうとう)」の別名があります。但し、「甘草(かんぞう)」という生薬の量が多いので、血圧を上げたり、むくみをおこすこともあり、使い方に注意が必要です。

 8月「暑気払い」に3歳の看護師さんの男の子も参加しました。老若二人はジュースと缶ビールで何回も「乾杯、ブファー」と椎名流に盛り上がり、その後、爺は静かに「醸し人九平治」を里見流でいただきました。