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漢方の話… 木の葉髪

  鉄砲洲診療所所長
  沖山 明彦
 

 「申し訳ありませんが、漢方の相談にきました」。何で申し訳ないのか続く言葉で了解しました。「最近、脱毛症になって、こまっているんです。皮膚科にも行ったのですが、漢方を試したくて」。

 「NHK俳句」に、高浜虚子が「十月(陰暦)の木の葉髪」を俳句の季題に選んだ経過を三村純也氏が解説しています。もとは、「秋冬の間、髪の抜けることが多いのを、木の葉と同じで仕方がない」と慰めとして使った、現・下関あたりのことわざからとしています。そして、「おとろへの見えし鏡や木の葉髪」(落葉女)の句、戦争へ向かって行く時代を感じさせる昭和12年の「釧路より根室へ流れ木の葉髪」(山本駄々子)の句が紹介されています。ところで、漢方では、抜け毛、脱毛症、円形脱毛症などに、@「桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)」A「柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」B「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」C「荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)」などがつかわれます。@は虚弱体質で神経過敏、精神不安、疲れやすい、寝汗をかく、手足は冷えるがのぼせる、不眠で夢をよくみる、そして抜け毛が多いのが症状です。お腹の診察では、腹直筋緊張があり、臍周囲の動悸を触れます。Aは比較的体力があり、便秘、精神不安があり、うわごとを言う、動悸、不眠そして夢をよくみる、いらいら、のぼせや頭痛、手のひらの発汗、それに脱毛です。みぞおちの痞え感、そして臍周囲の動悸などがお腹の診察でみられます。Bは漢方のやせくすりで紹介しました。Cは、筋肉質でやせ型、神経質(ねくら?)、体質的に皮膚が浅黒く、手のひらや足のうらに脂汗をかく、にきび、蓄膿、アレルギー性鼻炎、脱毛です。お腹は、腹直筋の緊張が強く、「くすぐったがりや」が特徴です。木の葉髪は女性の抜け毛のようですが、漢方は、男性でも使います。処方する医師の髪がふさふさしていないと、患者様も気を使うという落ち。

 さて、9月に休暇で鹿教湯温泉に行きました。台風の狭間でしたが、蕎麦の白い花につつまれ、フルーツ村や案山子オリンピック(?)、音楽村での坂本竜馬像との出会いとぜいたくな旅でした。また、ホテルが「斉藤」で、小布施、北斎記念館のそばで買った「モンドセレクション金賞の酒 渓流」の酒造会社が「遠藤」とは、いつものようにゆったりできました。