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糖尿病について(2)新しい糖尿病治療薬 インクレチン関連薬「夢の薬の登場か?」

  江戸川橋診療所所長
  柴原昭典

 前回に引き続きインクレチン関連薬に関する後編です。詳しいことは省略して、つぼだけをお話しします。

 インクレチン関連薬には2種類あります。飲み薬と注射薬です。飲み薬はDPP・W阻害薬と言いまして、みなさんの体から出ているインクレチンの効きを良くする薬です。注射薬はGLP・1受容体作動薬と言って、直接インクレチンのような作用をする薬です。もちろん、注射の方がより強力です。

 インクレチン関連薬は、食事したときだけインスリンの分泌を増やす働きがあるが、空腹時には働きません。従って、糖尿病治療にとってやっかいな低血糖が(単独使用時には)ありません。またインスリンとは逆に血糖を上げるグルカゴンというホルモンの働きを抑えて、さらに血糖を抑えることが出来ます。同時に、「もう、ご飯食べたから胃は休んでいていいよー」という信号を脳の満腹中枢に送って余分に食べないようにしてくれます。

 余計におなかが空かないので体重も増えにくい。

 注射薬はさらに強力で食欲を抑える効果もあります。(やせ薬と脚光を浴びるゆえんです)。しかし、内服のDPP・W阻害薬のみでコントロールできる糖尿病はそれほど多くはありません。インスリンをある程度出す力を持っている軽めの糖尿病の方なら単独でこれまでにない良好なコントロールが得られますが、多くの糖尿病はDPP・W阻害薬と他の薬との組み合わせで治療することになります。糖尿病の程度は一人一人異なりますから組み合わせ方はその方の糖尿病の程度によります。SU剤を減らして、安定した低血糖の少ないコントロールが出来る場合が多く見られます。中には、SU剤で疲れ果てた膵臓がDPP・W阻害薬で回復する例も見られます。

 インスリン治療にインクレチン関連薬を併用することによってインスリン量が減ったり、インスリンを使わなくても飲み薬だけでコントロール出来る場合もあります。注射薬も、すばらしい効き目を示す例も多く見られます。内服薬を全て中止できた例や、インスリン治療をやめられた例などが見られます。やせられないためにコントロール不良の内服治療中の方は思い切ってチャレンジする価値はあります。

 インクレチン関連薬は糖尿病治療を変えつつある、画期的な薬です。しかし、薬はあくまで体にとっては異物です。今後、今まで知られていない副作用が出ない保証はありません。慎重に使っていく必要があります。

いつになっても、変わらないすばらしい治療法は食事療法+運動療法です。このことを、決して忘れないようにしてください。

注:自分の膵臓からインスリンが出ていない方には効き目がありません。
1型糖尿病や進行した2型糖尿病にはインスリン注射が絶対必要です。