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漢方の話… 枸杞(クコ)の実あかく あちこち秋祭りー涼花

  鉄砲洲診療所所長
  沖山 明彦
 

 クコは日本ではどこにも自生し、古くから、不老長寿の薬草として知られています。春の葉を天精草、夏の花を長生草、秋に真っ赤な楕円形の実を下げます。これが「枸杞子(くこし)」で愛らしい様子を「枸杞提灯(くこちょうちん)」と呼びます。冬の根の皮を「地骨皮(じこっぴ)」といいます。春の葉は和え物やおひたしにします。「うららかな垣根のおひたしものができ」。蒸して茶にした「クコ茶」は、動脈硬化や高血圧予防、視力低下に利用されます。漢方の生薬としては、「枸杞子」と「地骨皮」が使われます。

 「地骨皮」は、血糖降下作用、解熱作用、消炎・鎮静作用、降圧作用があります。漢方では、滋養作用のある解熱薬として慢性的な微熱や体力低下に用いられるほか寝汗、咳嗽、吐血、鼻血、血尿にも応用されます。肺結核の漢方として有名な、「滋陰至宝湯(じいんしほうとう)」の主要は生薬が、「柴胡(さいこ)」、「麦門冬(ばくもんどう)」などと並び、「地骨皮」です。症状としては、体力が衰えた人で、慢性の咳、切れやすい痰、食欲不振、全身のだるさ、そして、寝汗、微熱などです。慢性の泌尿器疾患によく用いる漢方の、「精心蓮子飲(せいしんれんしいん)」の構成生薬の一つが「地骨皮」です。平素胃腸の弱い人で頻尿、残尿感、排尿痛があり、尿が濁ったりして(女性では帯下)、冷え症、全身がだるく、神経過敏などの人に用います。「枸杞子」は健康保険でのエキス剤にはないのですが、「六味丸(ろくみがん)」という、下半身のしびれ、腰痛、夜間尿や尿失禁、歯や目が悪い、夜間の口渇、胃腸は丈夫な人に用いる漢方がありますが、この漢方に「菊花(きっか)」と「枸杞子」を加えた漢方が「杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)」で老化による眩暈や視力減退、白内障などの症状に使われます。滋養・強壮には「クコ酒」が好まれます。薬酒は穀類を原料とした白酒(蒸留酒)、や黄酒(醸造酒)などの酒に生薬をつけて有効成分を浸出した液体をいいます。「人参酒」「杜仲酒(とちゅう酒)」なども滋養・強壮酒です。

 先だって、千駄木界隈で「花朝月夕(かちょうげっせき):花のあしたと月の夕べ 春の朝と秋の夜」を、古希の仲間と楽しみました。