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病気の話…認知症について(13)
認知症とせん妄 本人と家族から数多く寄せられる質問(2)

  東京保健生協精神科部長・大泉生協病院精神科 
  中島 昭  

(2)「どう対応していけばよいのか?疲れてしまった」 
 在宅で介護をしていくと、自分の対応に自信をなくしてしまうことが、誰にでも起こりえます。認知症の対応の基本は、本人が持っている生活能力や社会性を大切にして、引き出すこと、そして衰えていく能力を補い支えることです。

 介護と対応上、評価するべきことを整理してみましょう(左下図参照)。 介護は、長期に渡る見通しが必要です。本人の認知機能低下は徐々に進行していきます。BPSD(精神と行動の症状)が少ない人もいれば、様々な症状が出てくる人もいます。また、身体疾患が重なる場合を考えておかなければなりません。


対応の基本図

 適切な環境調節(1)

 第一に評価するべきことは、現在の生活環境が本人と家族にとって適切な状況にあるかどうかです。認知症があっても大きな支障なく生活できる時期があります。家族が時々、見守ることで問題なく生活できる時期です。精神と認知機能の状態の変化、或いは身体疾患の悪化により状況は変わります。そして、家族自身の状況の変化もあります。

 最初の変化は、家庭内で、これまでできていたことができなくなる、外出しなくなり社会的な交流が減ってしまうなどです。この場合は、家族が助言や見守りを意識的に増やせば日常生活は維持できるかもしれません。他方、食事摂取と生活・睡眠リズムが混乱しがちになるといった変化が見られる場合には、在宅介護支援体制の利用や強化を検討した方が良いでしょう。

 ヘルパー支援により、料理や掃除を初めとした家庭内の基本的な生活が再確立できます。一人暮らしの方では、他者との会話や交流により、認知機能がしっかりすることもあります。

 デイサービスの利用では、様々な働きかけや見守りにより、身体機能や認知機能がたいへんしっかりする人がいます。特に閉じこもりがちであった人にとっては、認知症の予防と心身の健康維持にたいへん有効です。食事や生活リズムがしっかりする人も多い。

 介護する家族にとっては、介護資源を導入することにより、視野が広がります。担当のケアマネやヘルパーと話し合うことで、本人の状態に則した対応や介護について改めて考えることができます。地域にどのような介護資源があるかを知ることで、ご家族の介護について現実的な視点から考えられるようになるでしょう。