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病気の話…ぎっくり腰について

  大泉生協病院 整形外科医 
  小久保 亜早子  


  突然の腰痛の総称を「ぎっくり腰」と呼んでいます。ドイツ語では「魔女の一撃」とも呼ばれ、その劇的な突発性が表現されています。整形外科医が使う診断名は「急性腰痛症」です。あまりの激しい痛みに、患者さんは驚いて、救急車で来院することもあります。

 「ぎっくり腰」の病態は、腰椎関連(筋・骨格系)のものがほとんどで、代表的なものに変形性腰椎症、腰椎椎間板ヘルニア、そして脊椎圧迫骨折があります。もし、原因がわかったときには、これらの診断名になりますが、わからない時は「急性腰痛症」とされます。

 「ぎっくり腰」の患者さんはよく、「ヘルニアですか」とお聞きになりますが、下肢痛(坐骨神経痛が多い)のない腰痛を、椎間板ヘルニアと診断することはまずありません。腰痛だけで、原因と考えられる疾患がみつからないときは「急性腰痛症」とします。

 「ぎっくり腰」の治療は原因に応じて違います。たとえば、ご高齢の方が突然の腰痛で動けなくなったときは、骨粗鬆症を基礎にした脊椎圧迫骨折のことが多いのですが、この場合、腰痛に対する対処と、骨粗鬆症の治療とどちらも必要です。ただ、原因がはっきりしない「急性腰痛症」の場合は、数日間安静にするだけで、自然に痛みは軽減してきますので、最初の腰痛が激しかっただけに、患者さんはその変化に驚くようです。具体的には安静のほかに、消炎鎮痛剤内服や、ベルト固定が効果的です。救急車でやってきたのに、翌日にはすたすた歩いて帰る方もいます。

 「ぎっくり腰」と似たような症状で、でも腰椎関連でない病気があります。代表的なものが「尿管結石」です。転げまわるくらいの激しい痛みなのですが、痛みは持続的ではなく間欠的である点、そして体動に無関係な痛みである点が、腰椎関連疾患との大きな違いです。「ぎっくり腰」が整形外科的な疾患だけとは限らないことにご注意ください。