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病気の話…腰椎椎間板ヘルニアについて

  大泉生協病院 整形外科医 
  小久保 亜早子  


 「ヘルニア」とは「突出」という意味で、ラテン語からきています。

 椎間板は線維輪と髄核でできていて、その一部が突出したときにこの診断名を使いますが、普段整形外科医がイメージしている「椎間板ヘルニア」は後方(神経側)に突出したものです。ただし、最もよく撮影されるレントゲン画像ではヘルニアを見ることはできません。ヘルニアは軟部組織であるためレントゲン画像には写らないからです。ではなぜ整形外科医は「腰椎椎間板ヘルニア」と診断できるのでしょう。

 実は症状など画像以外の所見から診断しているのです。腰痛だけでこの診断をすることはあまりなくて、下肢痛(多くは坐骨神経痛)を伴って初めてこの診断名を使うことが多いのです。ただし、ヘルニアの存在は画像で確認しているわけではないので、MRI撮影でヘルニアが存在しなければ診断がひっくりかえることになります。MRIはヘルニアの確認に最も有用なのですが、いきなりMRIを撮ることはまずありません。というのは、レントゲンほど、どこでもできる検査でもなく、費用もかかるので、腰椎椎間板ヘルニアを疑って初めて撮影しようとするからです。

 よく患者さんから「ヘルニアは治りますか?」と聞かれます。多くの場合「ヘルニアは引っ込むのでしょうか?」を意味しているようです。通常は、自然にヘルニアが戻ることはありません。特殊な場合、つまり椎間板の髄核が脱出したときのヘルニアに限っては、吸収されることがあるので、そのときは「ヘルニアが治る」≒「ヘルニアが引っ込む」と言ってよいでしょう。それ以外はそのままですが悲観する必要はありません。画像としては変わらなくても、手術以外の治療で症状が消失することはよくあります。この状況は、別の意味で「ヘルニアが治る」ということができるでしょう。