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漢方の話… 洛中に 桔梗の花が 三日咲き

  鉄砲洲診療所所長
  沖山 明彦


 11月は新暦では「暮秋」、旧暦では「風寒」ともいいます。9月下旬、向島百花園に半額75円で行ってきました。

 「萩のトンネル」は、花も終わりに向かい、「スカイツリー」を借景に尾花が風に揺れていました。園内に山上憶良の「秋の七種(ななくさ)」の碑があります。「萩が花、尾花、くず花、なでしこの花、おみなへし、藤袴(ふじばかま)またあさごほの花」。この「あさごほ」は今の朝顔でなく「桔梗(ききょう)」といわれています。漢方で薬用になるのは根(「桔梗根(ききょうこん)」)です。秋に地上部が枯れたころ、掘り起こし、水洗し、皮をとり、陽で乾燥します。桔梗の薬効は、抗炎症、鎮咳・去痰、排膿のほか抗アレルギー、感染防御、中枢抑制など多彩です。「桔梗湯(ききょうとう)」は桔梗と「甘草」からなる漢方で、咽頭痛が強く、粘った膿様痰を伴う咳がでる、発熱は軽度の場合、一口づつのどを潤すように飲みます。「桔梗石膏(ききょうせっこう)」は桔梗と石膏(炭酸カルシウム)の構成です。発熱、口渇、咽頭痛、咳を鎮めます。この処方はいろいろ他の漢方と併用します。

 「葛根湯加桔梗石膏(かっこんとうか…)」は、葛根湯が合っているが、咽頭痛や化膿傾向が強い場合。「小柴胡湯加桔梗石膏(しょうさいことうか…)」は、口が苦い、食欲不振など小柴胡湯の所見があり、咽頭痛が強い場合。「麦門冬湯加桔梗石膏(ばくもんどうとうか…)」は激しい咳込みで化膿性の痰、咽頭痛が強い場合。「十味敗毒湯加桔梗石膏(じゅうみはいどくとうか…)」は十味敗毒湯が効く湿疹、蕁麻疹、にきびなどで、熱をもったり、膿んだりしている場合。

 ところで、江戸時代「人参」の偽物として、「桔梗」が売られたことも知られています。元来、桔梗は「きちこう」と呼ばれ、また「木偏」をとると「吉更に」となり、多くの武家の家紋になった由です。太田道灌、柴田勝家、加藤清正、そして、冒頭の方(表題の川柳=明智光秀の三日天下を詠んだもの)です。

 シルバーウイークで野沢温泉の民宿に1泊しました。この時期だけだと、野沢菜の「間引き菜」をいただきました。細く柔らかく少し甘みを感じる菜でした。武田家の末裔が醸した「冷やおろし 水尾」で一献。そして、今、お会いしたいのは、松尾大社・酒グランプリ受賞、兵庫の「ののさん」です。