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病気の話…認知症、精神症状について 
高齢者と精神症状 嫉妬妄想(1)

  東京保健生協精神科部長・大泉生協病院精神科 
  中島 昭  

性格変化 

 70代後半の女性Aさんは、同い年の夫Bさんと二人暮らし。長女、次女が近隣区にいる。3年前から「物や通帳の置き場所をすぐ忘れる」という近時記憶低下があり、前医から抗認知症薬aを内服。身体的には骨粗鬆で腰痛、膝痛がありやや歩行が衰えている。

 3年後、当科初診。B「この1年は人が変わったように思い込みが強くなった。私に怒りをぶつけ、感情的になって突然、叩いたり引っ掻いたりする。病気だからと受けとめ対応してきたが顔つきが変わり、行動がエスカレート、夜も眠れず身体が持たなくなってきた。」と相談。一緒の散歩、分担して家事、気分転換に週二日、本人は老人会へと認知症予防と身体の健康維持に努めた3年間であった事を語った。

嫉妬妄想 

 「最近はさらに『私が浮気をしている』と恨みごとを言う。目つきが変わり、一方的な詰問が3時間続く」「化粧ポーチの化粧品が減っている、お金が少なくなっているのは、私が『女に使っている』からだと言い張る」「朝一緒に掃除して今日は穏やかに老人会に出かけたとホッとしていると、帰ってくるなり、『部屋が綺麗になっている、私のいない間に女が来て掃除をしている』と責め続ける」「タンスの奥から古い下着を持ち出したかと思うと、『こんな下着を私は持っていない。自分を追い出すために女がわざと置いていった』と作り話をする。」とBさんは状況を説明。

 「ご主人は生真面目であなたに優しい方と私は思いましたが」とAさん本人に話を聞く。

 A「主人はマメに動いてくれる人、好男子で若い時からもてた。仕事も真面目で夜遅くなることが多かったが若い時は家族のために頑張っていると疑っていなかった。それが、最近は老人会から帰ると女の下着がこれみよがしに部屋にかかっていることがある。私と違って学のある人で私では飽き足らないと思ってはいたが。老人会で私に話しかけてくる女性がいる、『あなたには出来過ぎた旦那さんね、あなたがいなくなったら私にちょうだいね』と言ってくる女が3人はいる。」と説明した。

 Bさんは「できるだけ話を聞いてきた。ただ、1か月前、『死んでやる』と包丁を持ち出した時と、『女をやっつけてやる』と食器を投げ、噛みついてきたときは諌めたが。私の対応が悪かったのか」と自分を責め本人の事を心配している。

 どのように評価をし治療と対応をすべきか。家族に症状の要点を理解してもらい、どのように共に治療協力をしていただくか。次回に説明したいと思います。