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漢方の話…かくれ家や 歯のない口で 福は内 (一茶)

  鉄砲洲診療所所長
  沖山 明彦


 「生協だより」は3月号ですが、今回は月遅れの2月で続けます。2月は旧暦では、「仲春」、古語では「うめみづき」呼びます。「民謡歳時記」で、「節分の夜」に紹介されているのが、冒頭の句です。悪鬼を払い福を招き入れる、豆まきは、もともとは大晦日であったが、いつの間にか、立春の前夜に変化しました。「福はうち、鬼はそと」も「福はうち、鬼もうち」、「福はうち、鬼はうち、悪魔そと」など、ところにより違いがあるそうです。近藤重蔵(江戸時代、北方探検家)の息子の富蔵の「八丈実記」には、八丈島での節分の厄払いが書かれています。大晦日に、「フン臭、フンクサ、カマツテ候。カマツテ候。芋千俵ノ息トカマツテ候。甘藷千俵ノ息トカマツテ候。米千俵ノ息とカマツテ候。八丈絹千箱ノイキトカマツテ候。カマツテサムロウ。」これを云い終ってから、「福はうち」になるといいます。臭い鰯や目を刺す柊(ひいらぎ)の葉(江戸城内では故合って樒「しきみ」)を添えて門戸におき、鬼を払う「追儺(ついな)」は、春を迎え福が来ることを願った慣習でした。鬼が実は福をもたらす者であることは、狂言の「節分(せつぶ)」にもみられるそうです。豆まきの豆を年の数より一つ多くもっているとよい年が越せるとか。また、息災のため年の数だけ食べるというのも、歯が少なくなると、一茶ならずとも難義で、義歯調整中の私も2個がやっとでした。

 さて、立春。梅は「百花の魁(さきがけ)」と言われるように、いち早く咲き春を告げます。梅の薬効は古くから知られ、「烏梅(うばい):梅の未熟果実を煙でくすべて、黒くなったもの」や「梅酒」、「梅肉エキス」、「梅干し」など民間療法を含め、利用されています。梅の実の味は「酸」です。漢方では、「酸」味は「肝、胆の機能や眼、筋肉の作用を促進します。胸、お腹の膨満、胸苦しさを除き、心臓の働きを安らかにします。また、血液の浄化にも有効で、呼吸器、大腸、皮膚、頭髪の働きを助け、腎の作用を補います」。

 「酒杯に 梅の花浮かぶ 思ふどち 飲みての後は 散りぬてもよし」(万葉集)。飲酒が過ぎたときには、「梅干し」を数個食べるとよいとか。悪酔い防止、二日酔い(宿酔)に用いられる漢方を紹介します。「五苓散(ごれいさん):猪苓(ちょれい)、沢瀉(たくしゃ)、」 茯苓(ぶくりょう)、朮(じゅつ)、桂枝(けいし)からなる」は口渇、尿量減少、嘔吐、めまい、頭痛、むくみ、時に下痢などの症状がある場合です。「黄連解毒湯(おうれんげどくとう(:黄連(おうれん)、黄柏(おうばく)、黄芫(おうごん)、山梔子(さんしし)からなる」は赤ら顔で鼻血などののぼせがあり、吐き気、嘔吐、頭痛、精神不安、めまいなどあり、軟便傾向で比較的体力のある場合。


 2月が誕生月で、職員からケーキで祝ってもらいました。某劇団の俳優さんもふくめて、「ハッピーバースデイ」の歌も準備されていたようですが、診療の段取りが悪く叶いませんでした。でも蝋燭が添えられていましたが、「シルバー川柳」のように、吹いて失神すると明日にさしつかえるのでやめました。感謝、感謝。母の実家が八丈島なので少し長くなりましたのをお許し下さい。祝い酒は、「別囲い純米吟醸 番外品 」網走ではなく、松本市の「大信州」でした。