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鬼子母神診療所から…在宅看取り2

  鬼子母神診療所 所長
  高岡和彦


  〜最後まで末永いお付き合いA「がん」編〜


 生協組合員の皆さまお元気ですか?茹だるような猛暑の夏が明け秋の気配が感じられるようになりました。秋は、「食欲の秋」「運動の秋」「勉強の秋」「紅葉の秋」と楽しみが目白押しですが、残暑もありますので体調管理にはご注意下さい。

 さて、今回のお話は前回の「在宅看取り」の第3弾です。その話はもう「あきた」と言わずにお付き合いください。お蔭様で「在宅でのお迎え」に関して何となく理解できたというお声を頂きました。そこで今回は「がん」をテーマに「在宅看取り」の1例をご紹介いたします(実例を参考に架空の設定を行いました)。  

 患者さまは65歳の男性です。2年前に肺がんの手術を受けました。手術は成功し術後経過も良好でした。胸腔鏡併用の手術でしたので仕事にも早く復帰できました。昨年の定期検診にて再発が確認されました。再手術は困難で抗がん剤治療を選択され闘病生活となりました。


 会社を退職し治療に専念しましたが、がんの猛威を抑える事は出来ず打つ手なしの状況に緩和医療を継続しました。幸いオピオイド(医療用麻薬)で苦痛は緩和されました。限られた人生で最後の整理を粛々と行いました。

 「緩和ケア病棟への入退院を繰り返しましたが「最後は、大好きなお家の畳の上で迎えたい」がご希望でした。また、「点滴などの医療処置や延命処置」は望まれませんでした。日に日に全身衰弱となりましたが苦痛を訴える事もなく穏やかに終末期を過ごされました。昼間は「ヘルパーさん」が家族に代わってお世話を行いご家族の負担軽減に努めました(夜間も巡回型のヘルパーなどもあります)。痛みなど体調の変化が起こった時に診療所に連絡すると「看護師さん」が親切丁寧に対応してくれ、ちょっとした不安にも親身になって頂けました。

夜間・休日など病状の変化を認めた時には「訪問看護師さん」に電話をしました。深夜にも関わらず適切なアドバイスをして頂け家族も本人も安心出来ました。「医師の往診」は当初2週間に1回の頻度でしたが、終末期に近くなると毎週往診して頂けました。病状が不安定な時期には毎日、電話連絡をして安否を気遣ってくれました。 

また、出勤前や帰宅途中に短時間ですが訪ねて来てくれました。休日の夕方から病状が急変し、訪問看護師に連絡を入れ来てもらいました。厳しい状況であったので医師に往診を依頼しました。ケアマネさんも来てくれました。大勢の家族に看取られながら臨終を迎える事が出来ました。安らかに眠っているお父さんの顔はまるで観音様のようでした。「自宅で最期を迎える事が出来て安心しました。有難うございました」と感謝の言葉を頂きました。 

「終末期を在宅で迎える患者とその家族」に対して多くのスタッフがそれぞれの専門的立場から濃厚に関わる事で安心して「在宅でのお迎え」が出来ると思います。一人で悩み、抱え込まないで皆で問題点を共有して対応する事が「チーム医療」だと思います。安心ください。