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介護の現場から…スキンシップ

    大泉訪問看護ステーション
 田鹿 弘美


 アルツハイマー型認知症のAさんは娘のBさんと二人暮らし。Bさんはストレスによる睡眠障害や精神不安で心療内科に通院中。訪問看護開始当初は、両者の腕や顔に親子のスキンシップでできたという多数のすり傷と内出血がありました。認知症患者の介護をしている家族は、『自分たちの声に耳を傾け、思いを聞いてほしい』という気持ちを持っていると言われています。私は血圧を測る際にさりげなくAさんの傷をチェック。Bさんへは「お一人での介護は大変ですね」「よく頑張られていますね」と伝え、Bさんとの関係作りを最優先。その後もBさんをねぎらい、心配していることを伝え続けた。

 しばらくするとBさんは自ら介護の大変さ、そして両前腕の擦過傷や内出血について話をしてくれるようになった。母と笑顔でじゃれ合っているうちに、自分もついやり返してしまうこと。そして、これらの行為は親子にとっては「スキンシップ」で虐待ではないことなど。私は穏やかで優しい表情を心がけ傾聴した上で、「Bさん親子は、この方法でスキンシップをとっているんですね。じゃれ合うなんて仲がいいんですね」とBさんが言う事実を受容・共感するように意識した。その後は傷について隠さず笑いながら見せてくれるようになっていった。「傷を作らないハグなどのスキンシップが良いのでは?」と勧めたら、「絶対にできないです」と満面の笑みで答えてくれたBさん。今ではAさん・Bさん親子の「スキンシップ」はハグに変わり、どこにも傷は無くなった。