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病気の話…認知症、精神症状について 
高齢者と精神症状 病的興奮(3)

  東京保健生協精神科部長・大泉生協病院精神科 
  中島 昭  

老人ホームでの父の姿 

 第25回に記した息子Aさんの相談。老人ホームに入居した父Bさん( 80代)が外泊した際、大変激しい暴言、暴力を目の当りにし当惑した。それとともに施設スタッフに任せている介護に思いをはせ、「職員の方々の苦労を実感した」と語った。

 その後、Aさんは父を担当するケアスタッフ、生活相談員、施設長と適宜、連絡をとるようになった。私も外来診察時に、電話でホームのケアスタッフから心身の状態を直接教えてもらうこととした。

 Aさんは特別にBさんの夜間の姿を見せてもらった。「父のいる2階には40人。夜間の介護職員は2名。今は父だけが廊下をうろうろと歩いていた。」夜間に途中覚醒が5回前後ある方だった。

 「廊下を歩いて、他の方が寝ている部屋に入っていこうとしたり、ドアを蹴飛ばしたりしていた。廊下に出てきた父に気が付くと、職員がその都度、話を聞き対応していた。1、2時間おきに、トイレに誘導して歩き回らないように注意を払ってくれていた。夜勤の職員には大変な負担になっていると思った。」

施設介護スタッフからの手紙 

 担当スタッフと施設長からは、外来受診時に、1か月間のホームでの生活上の要点をまとめた手紙がAさんに渡されるようになった。この手紙からは、ホームでのBさんの生活、行動とともに、スタッフが何を問題とし、どう考えているのか、介護スタッフの方々の視点もわかるようになった。

 例えば、4月の記録。歩行状態。「小刻み歩行にお変わりはないですが、長い距離を歩かれても問題なく生活できるようになりました。疲れた際にはご自身で廊下の椅子に腰をかけ休むようになりました。」

 感情面。「本来の真面目で優しい態度で、介護職員に接していただくこともありますが、穏やかであった態度が、きっかけなく急に不機嫌になられる事が増えているように感じます。昼間に話をした方を探しているのか、他の入居者様のドアノブを激しく回したり、ドアを蹴ったり、呼び鈴を鳴らすことがあります。その部屋の方がドアを開けてしまうと『何でお前がこの部屋にいるのか』と激昂され、ある方ともみ合いになるということがありました。」

 夜間のご様子。「日々の様子は別紙に詳しく書きました。記録にあるより多数、廊下を徘徊されており、安全のためにその都度職員が居室に本人様をお連れしています。歩かれている理由をお伺いすると、トイレを探されていた時もあれば、訳がわからなくなったと言われることもあります。」