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鬼子母神診療所から…在宅看取り3

  鬼子母神診療所 所長
  高岡和彦


  〜最後まで末永いお付き合い(3)「神経難病」編〜


 秋の気配も深まり、今年も残す所二か月余りとなりましたが、今年一年は皆様にとって良い一年でしたでしょうか?「良い事なんて一つも無いよ」と思われる方は「まだ、チャンスが残っていますからオリンピック選手のように諦めないで頑張って下さい」。それから、インフルエンザワクチンの予防接種は終わりましたか?

 さて、今回のお話は前回の「在宅看取り」の第4弾です。今回は「神経難病・筋萎縮性側索硬化症・ALS」をテーマに「在宅看取り」の1例をご紹介いたします。  

 患者さまは77歳の男性です。13年前に会社を定年退職し、二人のお子様も結婚・独立され御夫婦で旅行を楽しむなど自由気ままな生活を送っていました。2年前に体調不良を訴えてから体の動きが悪くソファーでゴロゴロする事が多くなりました。親戚の勧めで都立病院を受診し神経難病のALSと診断されました。主治医から全身の筋力が低下し食事や呼吸が出来なくなる原因不明の難病であると告げられました。症状の悪化が早ければ4〜5年で寿命が尽きるので胃瘻や気管切開による人工呼吸器管理が必要になる事も併せて告げられました。

 1年前より通院困難となり訪問診療に変更になりました。家族や本人の不安から毎週往診に伺い体調管理を行いました。訪問看護も週2回。ヘルパーさんは毎日来て頂いています(夜間は巡回型のヘルパーを利用しました)。また、東京都の事業として難病往診も開始され、大学病院から神経内科の専門医も往診に同行してくれました(要介護3以上か障害者認定2級以上。4ヶ月に1度、チームで往診。居住地により定数に上限あり)。

 ここ数か月はほぼ寝たきり状態で傾眠傾向です。呼びかけに対して僅かに顔をしかめる程度となりました。1週間前から高熱を認め肺炎と診断され抗生剤の投与と在宅酸素療法が開始になりました。病状は悪化傾向でしたので急変の可能性もありご家族に入院治療を勧めた所、在宅治療の継続をご希望されました。ご家族より「夫は予ねてより自宅で終末期を迎えたいと言っていた」とお聞きしました。家族とスタッフ一同で終末期を支え合う事を確認し在宅看取りを行いました。夕方から病状が急変し、訪問看護師に連絡を入れ、来てもらいました。厳しい状況であったので医師に往診を依頼しました。ケアマネさんも来てくれました。大学病院の神経内科の先生も心配して電話を下さいました。大勢の家族に看取られながら臨終を迎える事が出来ました。安らかに眠っているお父さんの顔はまるで大仏様のようでした。「自宅で最期を迎える事が出来て安心しました。有難うございました。」と感謝の言葉を頂きました。

「終末期を在宅で迎える患者とその家族」に対して多くのスタッフがそれぞれの専門的立場から濃厚に関わる事で安心して「在宅でのお迎え」が出来ると思います。一人で悩み・抱え込まないで皆で問題点を共有して対応する事が「チーム医療」だと思います。安心してください。