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漢方の話---「肝」の臓、「心」の臓、「脾」の臓

  鉄砲洲診療所所長
  沖山 明彦

漢方でいう五臓とは、中が充実した臓器という意味だけでなく、働き(機能)を代表する名前でもあります。

「肝」の働きは、栄養素の代謝と解毒をつかさどり、血を貯蔵し、全身に栄養を供給するという、現在の医学でも理解しやすい働きの他に、精神活動を安定化し、骨格筋の緊張を維持し、運動や平衡感覚を制御するはたらきをもっていると考えます。したがって、「肝」の異常を疑わせる症候として、黄疸、蕁麻疹、貧血、肝臓肥大などはわかりやすいのですが、いらいらしたり、怒りやすかったり、頭痛、肩こり、筋肉のけいれん、めまいなども、漢方では「肝」の異常とみます。

「心」の血液を循環させる働きは当然と思いますが、漢方ではその他に、意識の水準を保ち、目覚めや睡眠を調節し、熱の産生を盛んにし、発汗や体温調節をするのも、「心」の働きと理解します。したがって、動悸、息切れ、脈の不整などのほか、あせり、興奮、集中力低下、不眠、嗜眠、夢が多く眠りが浅い、発作性の顔面紅潮なども、「心」の異常症状なのです。

「脾」は、働きからは「胃」に相当しますが、「胃」は内容が空虚なので、「脾」に対応する、五臓六腑の五腑になります。「肝」に対しては「胆」、「心」に対しては「小腸」、「肺」には「大腸」、「腎」には「膀胱」となります。六腑の「三焦」は詳細不明です。五腑の話は省略して、話を戻します。「脾」の働きは、食物を消化、吸収し、「水穀の気」を生成する他に、血を滑らかに流通させ、血管からの漏れを防ぐ、筋肉の形成と維持の働きがあります。したがって、「脾」の異常は、食欲低下、消化不良、下痢、悪心・嘔吐、腹痛などの消化器症状のほか、皮下出血、脱力感、筋萎縮に、「気」の低下より抑うつ、気のふさぎなども「脾」の異常を示します。以上は「入門漢方医学」より。

ここで中断。「民謡歳時記」によると、11月7日の立冬を過ぎると、8日が鞴(ふいご) または踏鞴(たたら)祭りという鍛冶屋さんの祭りがあります。仕事を休み、酒、餅、みかんなどを神棚にそなえ、子どもたちにもみかんが配られます。11月12日は、一の酉の市、15日は七・五・三で、その頃の「亥の日」を「亥の子」と呼び、餅をつき、田仕事で世話になった家に餅を配り、子どもたちは、藁束を棒の様に巻いて土をたたきながら、「亥の子唄」を歌い、みかんや餅をもらい歩きます。すべてが枯れ落ちた中に、青々とした葉に黄色のみかんは、富と生命の象徴で「右近の橘、左近の桜」の橘がみかんであることは、よく知られています。

漢方でのみかんの実の効用は、芳香性健胃、止痢、去痰、排膿薬です。