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鬼子母神診療所から…在宅看取り
最後まで末永いお付き合い(6)「脳梗塞から寝たきりとなった男性」編
鬼子母神診療所
所長 高岡 和彦 

生協組合員の皆様、風鈴の音が涼を感じる季節となり暑い夏が到来します。こまめな水分補給とエアコン(扇風機)で熱中症予防にご注意下さい。
さて、今回は「妻と死別後より独居となり脳梗塞を契機に高次脳機能障害・片麻痺から寝たきりとなったお爺さん」をテーマに「在宅看取り」の一例をご紹介いたします(実例を参考に架空の設定を行いました)。

今回の主人公は75歳の男性です。3人の息子は結婚し地方都市でそれぞれの家庭を築き、年に1回程度孫を連れて帰省します。妻は10年前に乳がんを患い自宅にて最後を迎えました。自宅で最後を看取れた事で妻への恩返しが出来たと喜んでいました。
5年前に持病の高血圧・糖尿病のせいで脳梗塞を起こし半身不随となりました。ヘルパーさんや訪問看護・デイサービスを利用して独居生活を送っていました。昨年、4回目の脳梗塞発症後からは寝たきりとなり高次脳機能障害も併発し温厚で礼儀正しい性格が粗暴で怒りっぽくなりました。往診医や訪問看護師にも「バカヤロー」「帰れ」と言う始末です。
息子さん達と相談し施設入所も検討していた時でした。ケアマネジャーより「お爺ちゃんは口には出さないけど、奥様を看取った時のように、終末期を自宅で迎えたいみたいですよ」と連絡が入りました。早速、長男夫婦を呼んでケアカンファレンスが開催されました。

週末は交替で家族が看病し、平日はヘルパーと訪問看護師が24時間体制でケアに当たりました。医師は月2回の定期訪問を毎週に増やしきめ細かい対応を心がけました。
先月より経口摂取の低下と衰弱の進行を認め、ここ数日は水分のみとなりました。発語も少なく暴言も無くなりました。意思疎通は辛うじて頷く程度ですが家族や介護スタッフに対する感謝の気持ちが感じ取れました。

日曜日の朝、大勢の家族やケアマネジャー・介護スタッフ・訪問看護師が看守る中、静かに旅立たれました。そのお顔は非常に安らかで笑みも感じ取れました。仏壇に飾られた亡き奥様の遺影も微笑んでいました。
「終末期を在宅で迎えたいと思う患者とその家族」に対して患者・家族の意志を尊重し、多くのスタッフがそれぞれの専門的立場から濃厚に関わる事で安心して「在宅でのお迎え」が出来ると思います。一人で悩み・抱え込まないで皆で問題点を共有して解決する事が「チーム医療」だと思います。安心してご相談ください。