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HPH…社会的な「健康」とは
東京保健生協理事長・根津診療所所長
根岸 京田

私たちは生活をする中で、自然環境からだけでなく、人間関係や社会情勢など人の作り出す社会環境からも多くの影響を受けています。古代ギリシャの哲学者のアリストテレスは「人間は社会的な動物である」と述べました。
人は一人きりでは生きていけません。なんらかの形で社会の一員として生きていく以上、人間社会からの影響を受けずにいられないのです。様々な影響因子の中で自分の努力や工夫で改善できることもあれば、個人の努力ではどうすることもできないこともあります。
教育や交通、安全な食品の確保などはなかなか個人の努力で改善することはできません。また、生まれる前の赤ちゃんはお母さんの健康をコントロールできません。妊婦さんがタバコを吸ったりアルコールを飲んだりすることをお腹の中の赤ちゃんはどうすることもできないのです。妊婦さんの健康管理には、労働環境や周囲のサポート、医療システムなど社会環境が大きく関わっています。

これら、個人の健康に影響する社会環境因子のことを「健康の社会的決定要因」と言います。「健康の社会的決定要因」が社会疫学と言われる分野の研究者によって見出され理解されるようになったのは第二次世界大戦後のことで、公衆衛生学上の20世紀最大の発見とも言われています。
健康の社会的決定要因を改善することが「社会的に健康になること」であり、そのためには社会を変える大きな仕組み、すなわち政治の関与が欠かせません。