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鬼子母神診療所から…在宅看取り
最後まで末永いお付き合い(7)
「心筋梗塞を契機に心不全を繰り返した女性」編
鬼子母神診療所
所長 高岡 和彦 

生協組合員の皆様、残暑が厳しい毎日です。こまめな水分補給とエアコン(扇風機)で熱中症予防を継続して下さい。

さて、今回は「若いころから酒・タバコ・塩分大好きな女性が心筋梗塞を契機に入院しカテーテル治療にて一命を取り留めましたが、心不全にて寝たきり状態となった独居の女性」をテーマに「在宅看取り」の一例をご紹介いたします(実例を参考に架空の設定を行いました)。

今回の主人公は80歳の女性です。1人息子は結婚し首都圏近郊で家庭を築き公務員として忙しい日々を送っています。夫は10年前に肺がん・食道がんを患い自宅にて最後を迎えました。夫の主治医から、酒とタバコは身体に悪いと注意されましたが禁煙・禁酒には至りませんでした。
最近、生協の「すこしお」運動に興味があり減塩に意欲を示していました。昨年暮れに「胸の痛みと息切れ」を自覚し救急車で大学病院を受診しました。心筋梗塞と高度の心不全を併発し集中治療室に1週間入りました。リハビリ目的で別の病院に転院しましたが動く事が出来ず、1日の多くはベッドの上での生活を余儀なくされました。
リハビリが出来ないので自宅退院を選択しました。在宅酸素吸入を行いながら、医師の訪問診療、ヘルパーさんや訪問看護を利用して独居生活を送っていましたが、月1回のペースで心不全症状が悪化し短期入院を繰り返しました。

スタッフの間では「在宅医療は限界」との意見も出始め、息子さんと相談し療養病棟への入院も検討していた時でした。ケアマネジャーより「お婆ちゃんは口には出さないけど、ご主人を看取った時のように、終末期を自宅で迎えたいみたいですよ」と連絡が入りました。
早速、息子夫婦を呼んでケアカンファレンスを開催しました。週末は交替で家族が看病し、平日はヘルパーと訪問看護師が24時間体制でケアに当たりました。医師は月2回の定期訪問を毎週に増やし、きめ細かい対応を心がけました。
その後、少しずつ衰弱して寝たきりとなり食事も食べなくなりました。発語も少なく意思疎通は、かろうじて頷く程度ですが、家族や介護スタッフに対する感謝の気持ちが感じ取れました。土曜日の午後、息子やケアマネジャー・介護スタッフ・訪問看護師が看守る中、静かに旅立たれました。その顔は非常に安らかで、仏壇に飾られた亡き夫の遺影も微笑んでいるようでした。

「終末期を在宅で迎えたいと思う患者とその家族」に対して患者・家族の意志を尊重し、多くのスタッフがそれぞれの専門的立場から濃厚にかかわる事で安心して「在宅でのお迎え」が出来ると思います。一人で悩み、抱え込まないで皆で問題点を共有して解決する事が「チーム医療」だと思います。安心してご相談ください。