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漢方の話…大黄は腹を掃除の草箒(くさぼうき)
鉄砲洲診療所
沖山 明彦 医師

11月は2日から6日ころは旧暦では「山装(よそお)う」とか。9月、長野を訪れる機会があり、茶臼山の薬草園へでかけました。タクシーの女性ドライバーが、途中、りんご園をとおりながら、今は「秋映(あきばえ)」だが、11月には三兄弟の長男で金色の「シナノゴールド」がおいしくなりますよと、案内してくれました。薬草園は小規模でしたが、長野県の薬用作物栽培戸数は、平成13年まで全国第1位でした。
栽培生薬はオタネニンジン、アマチャ、センブリで野生品種としては、クマザサ、クロモジ、ホオノキ、キハダなどがあり、「養命酒」「百草丸」「えんめい茶」も県内産薬草が原料です。民間薬「奇應丸(きおうがん)」も有名です。

中国原産の大黄は世界的に古くから下剤として作用は知られていました。日本への渡来は奈良時代で、正倉院にも保存されています。渡来種のカラダイオウを日本で栽培し、その根茎を9月から10月に採取したものを「和大黄(わだいおう)」といいました。
中国での薬効が高いものは「錦紋(きんもん)大黄」の呼び名がありますが、日本の和大黄は、品質が劣るので「土(ど)大黄」と区別されます。以後、栽培は不調でしたが、八ヶ岳で某製薬会社が数十年かけて、錦紋大黄に匹敵する「信州大黄」開発に成功し、北海道で大量栽培し需要に応えています。

便秘には軽い運動、植物繊維を一日20g摂る、排便姿勢などに留意して漢方を使用します。大黄は成分の「シンノシド」などが大腸壁を刺激して、ぜん動運動を活発にし、便通をつけます。「大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)」は常習便秘、時に、嘔吐を伴う場合に使われます。大黄はその作用が強いため「将軍(しょうぐん)」とも呼ばれますが、「甘草」がその強すぎる痙攣性の痛みを緩めます。
「麻子仁丸(ましにがん)」は、ころころの便秘で、老人虚弱、皮膚がかさかさで夜間尿が多い場合に合います。それでも腹痛や下痢を起こすことがあり、量を加減します。
「潤腸湯(じゅんちょうとう)」は、体力のない人や老人の兎糞便秘で、皮膚の乾燥があり、お腹もゆるく便塊を触れることがあります。
「大黄」に、腹壁での水分吸収を抑え、便の水分量を増やし柔らかくする「芒硝(ぼうしょう)(硫酸ナトリウム)」を組み合わせた漢方があります。 「調胃承気湯(ちょういじょうきとう)」は体力中等度の老人や病後の便秘、口や舌の乾燥、軽い腹部膨満がある場合。
大黄を含む刺激性下剤は長期間の服用で、腸の自発的な動きが鈍り、自然排便しにくくなることもあり、また子宮収縮作用から妊娠中は使用を避けるべきです。「大建中湯(だいけんちゅうとう)」など大黄を含まない便秘の漢方もあります。

内田先生の卒寿の宴で、「山ガール」から、山行きの話を聞きました。今頃は頂上を極め紅葉顔か。当方義歯で、「鶴は千年、亀まへんねん」と女性杜氏による「亀齢(きれい)」を嚥下。