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歯の話…あれあれ?そのむせは無視できない
氷川下セツルメント歯科
歯科医 安 梨淑

ある日の診療室、月に一度のクリーニングを受けているHさん、随分むせて咳き込んでいます。歯科では注水する機械が多いのでむせやすいのは確かです。吸い取るタイミングが悪い時もあります。それにしても今日は……と思って「Hさん、このごろ喉の調子が良くないですかね。飲み込みにくいこととかありますか?」と聞いてみると、「実はこのごろ、食事の時、口の中の食べ物を一回では飲み込めないことがあるんだよね。喉が弱ってきたみたい。歳だね」。

一時的な喉の不調だけではなさそうです。飲み込み(嚥下)に問題が出てきているようですね。体力があるので肺炎には至ってないものの、喉の機能訓練が必要な状況です。そこで呼吸筋を鍛える効果もある吹き戻しリハビリをお薦めしました。

このリハビリは効果ありと研究結果も出ている信頼できるものです。

●吹き戻しリハビリの方法

  1. レベル0・1・2の吹き戻しを吹いてみて、自分のレベルを決める。
  2. 朝昼夜一回30回ずつ吹く練習をする。
  3. 低いレベルがクリアできたらレベルを上げていく。

Hさんにはレベル2の吹き戻しを渡して翌月の来院まで毎日やってみてと話しました。翌月、前回よりも長く水を溜められたHさんです。「リハビリどうでしたか?」と聞くと「毎日やってるよ。ちょっと喉もよくなった気がする。続けるよ」と。続けることが大切なので、何よりの反応でした。

さてこのごろは、Hさんのように外来で診療している時や、往診先で介護しているご家族との会話の中で、飲み込み(嚥下)機能の低下では?と思われるケースが多くなってきました。
嚥下障害が進めば口から食べることを諦める事態になります。これも超高齢化の現実と言えばそれまでですが、抵抗しないで降参では医療生協の名がすたります。
「食べる」をサポートする歯科の抵抗策として
(1)日頃の診療の中でHさんのように、飲み込みに問題ありと気づいたらお話しし、トレーニング法の情報を提供する。
(2)診療室の掲示物や班会・保健学校を通じて嚥下障害を予防する方法を広める。
(3)在宅療養中の方などでは、食べていて安全なのか?と疑われる場合には内科主治医と相談し、嚥下内視鏡などで精査する(歯科部では今年度から嚥下内視鏡検査が可能になりました)。

歯科部ではこれからも健康寿命延長のため食サポートを続けます。