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HPH…農村医療に取組んだ 佐久総合病院
東京保健生協理事長・根津診療所所長
根岸 京田

前回の連載でヘルスプロモーションのことを「皆で力を合わせて、平和で健康的で公正な社会を築くための取り組み」と紹介しました。その実現のためには、専門職と住民との積極的な連携が不可欠です。医療生協運動の原点とも言えますが、この条件を揃えることは現実的にはなかなか困難で、医療機関は診断や治療を行う組織として地域の健康を守るという視点には乏しく、市民の皆さんも自分や親しい人が病気になるまで健康を意識することは少ないのが現状です。しかし、日本にはWHOがヘルスプロモーションを提唱する遥か以前から素晴らしい取り組みがありました。

一つは行政が主導して住民の命を救った岩手県沢内村の取り組み、もう一つは農村医療に取り組んだ長野県佐久市の佐久総合病院の取り組みです。豪雪、貧困、疾病に苦しめられていた岩手県沢内村の深沢村長は、全国に先駆けて高齢者と乳児の医療費無料化、検診と地域保健活動を進め、1961年に乳幼児死亡率ゼロを達成しました。戦時中の1945年に佐久病院に赴任した若月俊一医師は「農民とともに」をスローガンに農村医療を推進、往診や健診活動 だけでなく演劇などの文化活動を通じて地域の保健活動を推進しました。今年5月、日本HPHネットワーク運営委員会で、第72回(!)を数える佐久総合病院の病院祭に参加してきました。地域住民の病院に対する期待と愛着、職員同士の団結と地元愛を感じる一大イベントでした。