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鬼子母神診療所から…在宅看取り
「気管支喘息と肺気腫にて闘病中に肺炎を契機に寝たきり状態となった女性のお話」編
鬼子母神診療所
所長 高岡 和彦 

生協組合員の皆様、まだまだ残暑が厳しい毎日です。こまめな水分補給とエアコン(扇風機)で熱中症予防を継続して下さい。
さて、今回は「夫の喫煙に悩まされ続けながら喘息治療50年目の女性」をテーマに「在宅看取り」の1例をご紹介いたします。
今回の主人公は85歳の女性です。1人息子は結婚し首都圏近郊で家庭を築き公務員として忙しい日々を送っています。夫は10年前に肺がん・食道がんを患い自宅にて最後を迎えました。亡き夫は主治医から、酒とタバコは身体に悪いと注意されましたが禁煙・禁酒には至りませんでした。妻は酒もタバコも嗜みませんが、夫の喫煙のせいで肺気腫と診断されました。喘息の発作に加え肺気腫の増悪で酸素吸入が必要な状態となりました。
5月の連休に風邪をこじらせ肺炎となり入院しました。点滴治療で改善しましたが退院までのリハビリが一月続きました。自宅退院しても息切れや呼吸困難が強く、夜も眠ることが出来なくなりました。落語家の師匠が肺気腫で逝去したニュースが頭の中でこだまして不安な毎日を過ごすようになりました。
7月に入り毎日が猛暑日で病院への通院も困難となりました。近所の包括センターの方が紹介してくれた東京保健生協の診療所から訪問診療に来てくれる事となりました。介護保険の申請も行い要介護3と判定され訪問看護師やヘルパーさんも決まりました。日に日に衰弱する母を見た息子は在宅(自宅)ではなく、施設や病院での療養を希望しました。しかし、ケアマネさんから「お母さんは口には出さないけど、ご主人を看取った時のように、終末期を自宅で迎えたいみたいですよ」とお話され在宅療養・在宅看取りを決意しました。早速、息子夫婦を呼んでケアカンファレンスが開催されました。週末は交替で家族が看病し、平日はヘルパーと訪問看護師が24時間体制でケアに当たりました。医師は月2回の訪問回数を毎週に増やし、きめ細かい対応を心がけました。
その後、少しずつ衰弱し食事も食べなくなりました。発語も少なく意思疎通は辛うじて頷く程度ですが家族や介護スタッフに対する感謝の気持ちが感じ取れました。9月初めの土曜日の午後、息子やケアマネジャー・介護スタッフ・訪問看護師が看守る中、静かに旅立たれました。
「終末期を在宅で迎えたいと思う患者とその家族」に対して患者・家族の意志を尊重し、多くのスタッフがそれぞれの専門的立場から濃厚に関わる事で安心して「在宅でのお迎え」が出来ると思います。一人で悩み・抱え込まないで皆で問題点を共有して解決する事が「多職種連携・チーム医療」だと思います。安心してご相談ください。