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HPH…多様性時代におけるHPHの役割
東京保健生協理事長・根津診療所所長
根岸 京田

3月9〜10日、日本HPHネットワークのスプリングセミナーが開かれ、そのワークショップの一つで性的マイノリティーが取り上げられました。当事者のみなさんも参加したためか、とても印象深い学びの場となりました。LGBTと言われる性的マイノリティーは日本では人口の5〜7%と言われており、私たちが日常的に接している患者さんや利用者さんたち、さらには職員の皆さんの中にも15人から20人に一人の頻度でいらっしゃるということです。人には生まれた時の生物学的な性、自認する性、そして性的志向という3種類の性があると言われており、3つの性が白黒はっきりしている人は実はそれほど多くないかもしれません。まだまだ偏見が強い中、多くの当事者のみなさんはそのことを公表できず、悩みを抱えながら暮らしています。

多様性の時代と言われる現代、様々な個性を持った人が個人として認められるのは、長い歴史の中で人類が到達した成果の一つであり、日本国憲法に結実した基本的人権の尊重の精神です。「人権」が認められたのはそれほど昔のことではありません。歴史的には、少数者を差別する歴史の方が圧倒的に長いのです。その極端な例が優生学的な政策を進めたナチスでした。ユダヤ人や同性愛者、精神病患者を「遺伝的に劣った者」として迫害、虐殺しました。第二次大戦後、生物学の進化もあって、人類全般に遺伝学的な差異はないことが確認されましたが、人類は少数者の差別を乗り越えられたのでしょうか。アメリカにおける黒人差別は戦後もずっと持続し現代にまで暗い影を落としています。日本でもハンセン病患者の隔離政策、優生手術など21世紀にまで問題を引きずっています。女性や性的マイノリティーの皆さんに優しい社会は、障がい者や高齢者、認知症、子ども、外国人にも優しい社会であるはずです。日本国憲法の精神に則り、全ての人に優しい社会を作ることもHPHの重要な役割です。